ディスコグラフィ   ロバート・ラム(ライヴ盤)

LEAP OF FAITH : ROBERT LAMM LIVE IN NEW ZEALAND (2005/4)
ROBERT LAMM

曲目 [日本国内盤未発売]
ロバート・ラム
総評

試聴

Produced by ROBERT LAMM & BEN CAMPBELL

曲目 <国内盤未発売の曲の邦題は単純にカタカナ表記にしてあります>
01 BEGINNINGS ビギニングス
02 INTENSITY インテンシティ
03 THE MYSTERY OF MOONLIGHT ザ・ミステリー・オブ・ムーンライト
04 I COULD TELL YOU SECRETS アイ・クッド・テル・ユー・シークレッツ
05

SATURDAY IN THE PARK

サタデイ・イン・ザ・パーク
06

ANOTHER SUNDAY

アナザー・サンデイ
07 WATCHING THE TIME ウォッチング・ザ・タイム
08 SOMEWHERE GIRL サムホエア・ガール
09 ALL THE YEARS オール・ザ・イヤーズ
10 IT'S A GROOVE, THIS LIFE イッツ・ア・グルーヴ、ディス・ライフ
11 GIMME GIMME ギミー・ギミー
12 25 OR 6 TO 4 長い夜
13 DOES ANYBODY REALLY KNOW
WHAT TIME IT IS ?
いったい現実を把握している者は
いるだろうか?
総評

ロバート・ラムが2004年2月4日、ニュージーランドで行ったソロ・コンサートの模様を収録したライヴ・アルバム(この内容に、ボーナス・トラックとロバートのインタビューを追加したDVDが2007年2月10日に発売されています。DVDの購入方法については、DVD版のページをご参照ください)。

ロバートがシカゴとは別に、ソロ名義でこれほどまでに大規模なコンサートを開催するのは、実質的には初めてと言っていいと思います(確認できるところでは、96年10月18日、ニューヨークのボトム・ラインという会場において、シカゴとソロの作品を数曲演奏しています。このときは他に数人のアーティストが出場しており、単独公演という形ではありませんでした)。

今回のこのソロ・コンサートは、2003年にリリースしたソロ第4弾『SUBTLETY & PASSION』のプロモーションをかねて、ELEMENTS MUSICの協賛の下、ニュージーランドはオークランドにあるスカイ・シティ・シアターで行われたものです。当日は、シカゴのニュージーランド/オーストラリア・ツアーの中日にあたっていました。

シカゴからは、ジェイソン・シェフトリス・インボーデンリー・ロックネインの3人がバックの演奏を務めています。また、上記『SUBTLETY & PASSION』の共同プロデューサー、ハンク・リンダーマンもギターで参加しています。

当夜の実際の演奏順は、おそらく以下の通り。従って、本CDでは、中盤から多少曲順が入れ替わっていることになります。

2004年2月4日 ニュージーランド オークランズ・スカイ・シティ・シアター

01 BEGINNINGS
02 INTENSITY
03 THE MYSTERY OF MOONLIGHT
04 I COULD TELL YOU SECRETS
05 SATURDAY IN THE PARK
06 ANOTHER SUNDAY
07 WATCHING THE TIME
08 ALL THE YEARS
09 IT'S A GROOVE, THIS LIFE
10 SOMEWHERE GIRL
11 GIMME GIMME
12 25 OR 6 TO 4
13 DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS ?



ところで、このライヴCDは、当初は、2004年末の発売を予定していましたが、ロバートがシカゴの新作『XXX』のレコーディング作業を優先させたため、同時期のリリースを見合わせ、一時的に延期状態となっていました。

そして、シカゴのレコーディングが無事一段落したところで、2005年4月23日、今度は、ロサンジェルスのニッティング・ファクトリー・ハリウッドにおいて、2回目のソロ・コンサートを開きました。本CDは、この会場で、まず先行発売されるに至っています。


なお、本アルバムのタイトル『LEAP OF FAITH』の由来について、ロバートは以下のように語っています。

(≪LEAP OF FAITH≫という)タイトルは、ニュージーランドのある小さなレコード会社がオークランドでライヴ・コンサートの録音と撮影をしたいと申し出てくれたことから来ています。それと、SKY TOWERからバンジー!したことも、ね。750フィート(約230m)もあったんだけど、フィルム・クルーはどうやら撮影し損なったみたいだね

この≪LEAP OF FAITH≫という言葉は、あちらではよく用いられるフレーズですが、反面、日本語には訳しづらい言葉でもあります。私も、正直、いまだにしっくりくる訳語が見つかっていません。

おそらく、ロバートとしては、小規模ながら誠実さを持って運営されているELEMENTS MUSIC社が、自身のソロ・ライヴをオークランドのスカイ・シティで敢行するよう手配してくれたことに痛く感動した点を強調したかったのではないでしょうか。そのときの心躍るような気持ちが≪LEAP OF FAITH≫、すなわち、≪飛び跳ねたくなるような誠実さ≫という言葉として表れたのだと推測しています。

ときに、後半のバンジー・コメントについて2点。

最終的には原文でご確認いただくとして、私自身は、おそらく、会場となったスカイ・シティに併設された「SKY TOWER」にあるバンジー・ジャンプのことを、≪LEAP OF FAITH≫という言葉に掛け併せた一種のジョークだと思っています。解説しちゃうと面白くないかも・・・。

しかも、ELEMENTS MUSICのサイトにある映像は、このときのバンジーの模様ではないかと思うのですが、顔がはっきりとは分からないので、断定はできません(でも、たぶん、そう)。


さて、以下には、本CDの購入方法について若干付記しておきます。


本CDのご購入方法について

ロバート・ラムのソロ・ライヴCD『LEAP OF FAITH : ROBERT LAMM LIVE IN NEW ZEALAND』のご購入につきましては、主催したニュージーランドのELEMENTS MUSIC、または、同社と販売協力をしているカリフォルニアのBetty Jo Productionsが対応しています。

なお、本CDは、予定枚数を販売したため、一旦はソールド・アウト状態となっていました。

ところが、その後も引き続き購入を求める声が強かったとみえて、2007年6月から、再びBetty Jo Productionsにおいて再発売されるに至っています。

今後とも、ロバート・ラムのオフィシャル・ウェブサイトやこの『LEAP OF FAITH』専用myspaceをこまめにチェックしてみてください。

当CDのご購入方法について

DVD版

01
BEGINNINGS
ビギニングス
ROBERT LAMM

 69年、『シカゴの軌跡』収録。

「Ladies and Gentlemen! Welcome Robert Lamm!」というやわらかいアナウンスで始まる本CD。

続いて、オーディエンスの品のある興奮が手に取るように伝わって来ます。

いつもなら、この曲のイントロは、ロバート自身が12弦ギターを繰り出して始まります。しかし、ソロで公演を行うときには、自らはキーボードに専念するようです。代わりに、ハンク・リンダーマンがこのイントロ部分を担当しています。

このような構成のせいか、この曲に関しましては、初期の演奏態様にタイム・スリップした感覚に襲われます。

その他にも、やはりソロだと曲の印象も変わってくるのでしょうか。新鮮、かつ、どこか懐かしい、といったくすぐったい雰囲気が漂っています。

リー・ロックネインのトランペットも、やさしく、そして、ジャズの音色よろしく、いつも以上に心地良く響き渡ります。

バック・ヴォーカルを務めるベス・キャンベルは、ニュージーランド出身の若手女性ヴォーカリストですが、往年のポインター・シスターズを彷彿とさせるコラボレイトを見せています。

02
INTENSITY
インテンシティ
ROBERT LAMM
 2003年、『SUBTLETY & PASSION』収録。

72年の『ライヴ・イン・ジャパン』に収録されている"BEGINNINGS"のライヴ・バージョンの間奏部分に挿入された、≪Intensity is the key, what I mean is that I found an answer≫という一節で始まる曲。ソロ・ライヴで、この2曲を連奏するのは、やはり意図的なものなのでしょうか?

テリー・キャスのギター・ソロ部分はハンク・リンダーマンが奮戦。ロバートも、曲の終了後、ハンクの演奏をたたえます。

03
THE MYSTERY OF MOONLIGHT
ザ・ミステリー・オブ・ムーンライト
JEFFREY FOSKETT ROBERT LAMM
 2003年、『SUBTLETY & PASSION』収録。

アルバムより若干硬質なギターで始まります。ロバートの内省的なヴォーカルがこれと見事な対照をみせます。

静的な前半から一転して、後半に来る盛り上がりは圧巻。まるで月を求めて山を登り降りしているような感覚に襲われます。

共作者のジェフリー・フォスケットは、ビーチボーイズのサポート・メンバーとして長年活躍して来た愛すべき巨漢。どうやら、ロバートがここニュージーランドでソロ・ライヴを披露するに至った経緯には、彼の後押しがあったようです。ジェフリーも、ハンクも、そして、アメリカのジェリー・ベックリーも、みんなロバートの個人的親友です。

04
I COULD TELL YOU SECRETS
アイ・クッド・テル・ユー・シークレッツ
ROBERT LAMM

 2003年、『SUBTLETY & PASSION』収録。

アルバム『SUBTLETY & PASSION』のトップ・バッター。

サビの部分は、≪I could bring you flowers≫と歌っています。これでロバートのオフィシャル記載の歌詞とと一致したわけですが、依然アルバム・バージョンとは異なったまま・・・。しかし、その辺が面白いところでもあります。

05
SATURDAY IN THE PARK
サタデイ・イン・ザ・パーク
ROBERT LAMM

 72年、『シカゴV』収録。

おなじみの1曲。

ソロですから、シカゴのコンサート時よりリラックスして、自由に歌っているかもしれません。

但し、コーラス相手はジェイソン・シェフですから、あまりソロ・ライヴって感じもしない???

06
ANOTHER SUNDAY
アナザー・サンデイ
GERRY BECKLEY ROBERT LAMM
 2003年、『SUBTLETY & PASSION』収録。

ホーン・セクションの砲列がキッチリ決まっている感じです。

本ライヴの中でも、一番アルバム収録内容と変わらない演奏に思います。

07

WATCHING THE TIME
ウォッチング・ザ・タイム

GERRY BECKLEY

 99年、『IN MY HEAD』収録。

 2000年、『LIKE A BROTHER』収録。

 2004年、『TOO MANY VOICES』収録。

アメリカのジェリー・ベックリーの作品。よほどロバートのお気に入りなのでしょうね。アメリカ・ファンの私としても、実にうれしいところです。

ちなみに、『IN MY HEAD』収録時には、"WATCHING THE TIME GO BY"というタイトル表記でした。

08
SOMEWHERE GIRL
サムホエア・ガール

HANK LINDERMAN ROBERT LAMM

 2003年、『SUBTLETY & PASSION』収録。

テンションをおさえめにして始まり、やがて、サビに入って行くくだりが何とも言えません。

コーラスも楽しそうです。

それにしても、キャッチーな曲を作ったものだなあ、と思います。

09
ALL THE YEARS
オール・ザ・イヤーズ
ROBERT LAMM BRUCE GAITSCH

 93年、『LIFE IS GOOD IN MY NEIGHBORHOOD』収録。

 94年、『STONE OF SISYPHUS』収録(未発表)。

この曲は上記のように、ソロ第2弾『LIFE IS GOOD IN MY NEIGHBORHOOD』の中ではすでに発表されていましたが、そののち、シカゴの『STONE OF SISYPHUS』にも収録される予定で、いわばそのシカゴ・バージョンの製作が進んでいました。

ところが、多くの方がご存知のように、この『STONE OF SISYPHUS』は発売が取りやめになってしまいました(その辺りの経緯につきましては、こちら)。

また、各ページでも触れていますが、ソロ・バージョンとシカゴ・バージョンとでは、若干曲の雰囲気が異なります。

本ライヴ・アルバムのイントロは、お蔵入りとなったシカゴ・バージョンの方です。

演奏後のロバートのコメントによれば、どうやら、このシカゴ・バージョン(=『STONE OF SISYPHUS』)のイントロにあるギター・カッティングは、ビル・チャンプリンの手によるものらしいです。

当夜はハンク・リンダーマンがギターを弾きましたが、ビルも、このソロ・ライヴの模様を観客席から眺めていました。そのため、ロバートは、「この会場のどこかにいるビルに感謝します。サンキュー、ビル!」と述べています。

10
IT'S A GROOVE, THIS LIFE
イッツ・ア・グルーヴ、ディス・ライフ
ROBERT LAMM

 2003年、『SUBTLETY & PASSION』収録。

『SUBTLETY & PASSION』の中でも私が一番好きな曲です。

ロバートは、あえてこの曲をアルバムの最後に選んだようです。「自分の人生の中で愛してきた人々について歌った曲です」と紹介して演奏に入ります。

11
GIMME GIMME
ギミー・ギミー
HANK LINDERMAN ROBERT LAMM

 2003年、『SUBTLETY & PASSION』収録。

終盤を迎えて、力感あふれる曲を持って来ました。この曲は、やはり、詩に意味があると考えます。

12

25 OR 6 TO 4
長い夜

ROBERT LAMM

 70年、『シカゴと23の誓い』収録。

ある意味最大の目玉。

作者であるロバート自身が歌うのは、どうなんでしょう・・・おそらく、初めてなのでは???とにかく、そのアメージング&サプライジングぶりは多言を要しません。

この曲の演奏については、みなさんも、前もってあまり感想を聞きたくないでしょうから、私も当分書かないようにしたいと思います。

ですが、このロバートが歌う貴重な映像がELEMENTS MUSICのウェブサイトにて視聴公開されていることだけはご紹介しておきます。

[ELEMENTS MUSIC]


ところで、オリジナルは、ピーター・セテラが歌っていましたので、ロバートとの間には当然、音域の高低があるはずです。この点、「キーは変えたのですか?」というファンの質問に対し、ロバートは、「同じキーです・・・」と答えています。しかし、このコメントの真意は測りかねます。

また、かつて、シカゴのコンサートにおける"ANOTHER RAINY DAY IN NEW YORK CITY"について見せたように、歌詞の順序を多少入れ替えて歌っている点は興味深いところです。

なお、CDのクレジット上は、トム・ロッドウェルという人がこの曲のギター担当であるかのように映りますが、これはあくまでもアディショナル・ギターという意味でして、メインはハンク・リンダーマンです。これはハンク本人に確認しています。

トム・ロッドウェルは、ニュージーランドのミュージシャンです。本ライヴでのギター・プレイは、すべて付加的に関わっているとのことです。

13

DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS ?
いったい現実を把握している者はいるだろうか?

ROBERT LAMM

 69年、『シカゴの軌跡』収録。

トリを務める曲。

余程ロバートはこの曲が好きなのでしょうね!

歌詞のスタイルもロバートの真骨頂です。


鳴り止まない歓声とともに、本CDは終了します。しかし、私たちは、もっともっと多くの曲を聴きたいとの衝動に駆られてしまうのでした・・・。