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ジャングルの中にでも迷い込んだかのような出だし。全体の曲調もまるでアフリカン・ミュージックのよう。但し、その雰囲気をかもし出すドラム系統はすべて打ち込み仕上げです。
さて、タイトルの≪TABLA≫という名前ですが、ロバートは自らのオフィシャル・ウェブサイトで、この命名の由来について触れています。
早い話が、≪タブラ≫は実在の女性(少女?)だが、それは彼女の本名ではなく、ロバートが名付けた架空の名前、だそうです。
どうやら、これは、1980年代後半の、「アムネスティ・インターナショナル・ニューズレター」の中で報告された話が元になっているようです。アムネスティ・インターナショナルといえば、世界的な人権擁護団体ですから、そこのニューズレターということは、人権問題に関する機関紙や通信など何らかの情報ソースだと思われます。しかし、その記事に取り上げられた女性ないし少女が一体どのような事件の渦中にいたのかという点については、ロバート自身が言及していないため、私にもよく分かりません。
ですが、いくらか想像することはできます。
例えば、歌詞中≪Chittigong≫とは、日本ではチッタゴンと訳されるバングラデシュの都市名を指します。かの国バングラデシュでは、1971年に独立した後もなお、政局は混迷を続け、経済も極度の貧困状態に直面します。また、幾度となく多数宗教徒による少数宗教徒の弾圧があった、とのこと。具体的には、90年代に至るまで建造物の破壊をはじめ、性的暴力、さらには大量の虐殺行為が行われてきた、と言われています。
歌詞から判断するに、ロバートがモデルとしたこの“架空の女性”タブラについて、どうやら性的な暴力を示唆するものはないようです。むしろ、選挙の話が出てきますので、この国の不正な選挙(例:複数回投票などの事例はとくにひどかったらしい)や、軍事政権による宗教弾圧および言論統制に対する反発を感じ、その象徴として、該当記事に登場した名もなき一女性を取り上げたものと考えるくらいが落ち着きがよさそうです。
ところが、話はこれで終わらず、ロバートはさらに興味深いコメントを披露してくれています。
すなわち、なんと、歌詞はロバート自身が書いたが、曲はピーター・セテラが書いたものだ、と言うのです!ロバートがこのアムネスティの記事に接したのが80年代の後半ですから、すでにピーターはシカゴを去っています(1985年脱退)。すると、ピーターが脱退前に残したメロディの使用権自体はシカゴ側に残っており、ピーターの脱退後、ロバートがそのメロディを拝借したということなのでしょうか?
しかし、ロバートは続けて、こんなことも述べています。つまり、ピーターは曲は気に入っていたが、自分(=ロバート)がデモ用に書いた歌詞が政局に関するものだったので、気分的に引いてしまったのかもしれない、だから、結局ボツになった、とです。
となると、年代的には非常に微妙なので、2つの可能性が考えられそうです。1つは、ロバートのコメント通り、記事は80年代後半のものであり、従って、すでにシカゴを脱退したピーターと2人で共作する機会があったということ。もう1つは、失礼ながらロバートの記憶違いで、この記事を最初に見た時期がピーターの脱退前の84年ぐらいであったということ。はたして、そのどちらなのでしょう???
なお、以上のロバートのコメントは、彼の旧フォーラムにおけるものだったので、現在では、アップされていません。
とはいえ、後年、こうしてロバートのソロ第2弾の中で本曲は無事お目見えしているわけです。曲が埋もれなくてホッと胸を撫で下ろす心境です。その際、ロバートは、新たにランディ・グッドラムと共作して曲を仕上げ直し、歌詞も付け加えた、と語っています。
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