ディスコグラフィ   シカゴ(01)

CHICAGO TRANSIT AUTHORITY (1969/4)
CHICAGO

曲目 シカゴの軌跡
シカゴ
総評

試聴♪

Produced by JAMES WILLIAM GUERCIO

曲目
01 INTRODUCTION イントロダクション
02 DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS ? いったい現実を把握している者はいるだろうか?
03 BEGINNINGS ビギニングス
04 QUESTIONS 67 AND 68 クエスチョンズ67/68
05 LISTEN リッスン
06 POEM 58 ポエム58
07 FREE FORM GUITAR フリー・フォーム・ギター
08 SOUTH CALIFORNIA PURPLES サウス・カリフォルニア・パープルズ
09 I'M A MAN アイム・ア・マン
10 PROLOGUE, AUGUST 29, 1968 1968年8月29日シカゴ、民主党大会
11 SOMEDAY (AUGUST 29, 1968) 流血の日
12 LIBERATION 解放
総評

01
INTRODUCTION
イントロダクション
TERRY KATH

02
DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS ?
いったい現実を把握している者はいるだろうか?
ROBERT LAMM

この曲の初出は、本作『シカゴの軌跡』でしたが、極端に長いわけでもないのに(4:35)、シングル化や、ベスト盤への編集の段階で、様々な短縮化を強いられた曲です。

内容は、叙事詩を得意とするロバートの真骨頂が表れた作品と言っていいでしょう。現実に体験したエピソードが元になって作曲されています。

懸命に今の時刻を知ろうとする人たちに対して、≪いったい現実を把握している者はいるだろうか?≫と皮肉を込めて返答する主人公。

では、本当に必要なことは何か?―――それは、やはり、ロバートにしか分からないのでしょう。でも、その一つが"BEGINNINGS"なのかもしれませんね。もちろん、2つの曲の間に何ら意図的な関係はありませんが・・・。

なお、この曲の後半には、ナレーション的なコメントがかぶさっていますが、2002年にライノが再発した本アルバムの国内盤には、今まで聴き取れなかった同部分の歌詞が掲載されています。この場を借りて、関係者の皆さんに敬意を表したいと思います。また、シカゴのオフィシャル・ウェブサイトにもアップされています。

なお、この曲には、分数違いのバージョンが多数存在します。その比較表はこちら

Q&A 歌詞に関する疑問

"DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS ?"の分数比較

03
BEGINNINGS
ビギニングス
ROBERT LAMM

この曲は、叙“事”詩を得意とするロバート・ラムが叙“情”詩の方でも、さすがという一面を見せてくれる名曲です。≪キミと一緒にいるときは、どこで何をしているかなんて関係ない≫、≪キミにくちづけをすると、千もの違ったフィーリングを感じる≫などなど・・・。

このように優しく語り掛けるロバートのラヴ・ソング"BEGINNINGS"。演奏時間に負けないファンのロング・ラン的支持のある逸品です。

しかも、出だしからあふれる、アコースティックな調べは、とても繊細、かつ、ロマンティックで、格調高い雰囲気さえかもし出しています。そのせいか、非常に聴き易い曲ですので、理屈よりとにかく聴いてほしい!と自信をもっておすすめできる名曲です。

なお、この曲は、演奏時間が8分弱と、とても長かったため、シングル・カットする際に、分数が極端に短縮されたりもしました。

テリー亡き後のライヴでは、ロバート自らが12弦ギターを携えてイントロを繰り出すようになります。ところが、2004年2月4日、ニュージーランドで行なわれたロバートの・ソロ・コンサートの中では、ギター・イントロは人に任せ、自身はキーボードに専念するという、近年稀に見る演奏形態を披露してくれたりもしています。

04
QUESTIONS 67 AND 68
クエスチョンズ67/68
ROBERT LAMM

記念すべきシカゴのデビュー・シングル。

ところが、一番最初にリリースした69年6月の時点では、チャートインを果たせませんでした。めげずに翌7月に再リリースしたときには、8月9日付でギリギリの99位に初チャートイン。その後78位、71位ときて、なんと翌週はHOT100圏外へ・・・。わずか3週だけのチャートインに終わりました。

しかし、2作目『シカゴと23の誓い』からのシングルが大ヒットを記録すると、その余波を受けて、1作目の本作『シカゴの軌跡』に戻ってシングル・カットされる機運が高まり、71年9月になって再々リリースされます。この、都合3度目にシングル化された"QUESTIONS 67 AND 68"は、見事24位まで上がるスマッシュ・ヒットとなりました。

これら3度のシングルは、それぞれアルバム・バージョンを短縮したもので、なおかつ、すべて演奏時間が異なります。

84年からシカゴを聴き出した私は、ラジオの特集で流れた、このダイナミック、かつ、小気味良いドラム・イントロにまさに骨抜き状態となり、初期のシカゴの曲にはまるキッカケを与えられました。あのとき受けた「カッコイイ〜!」という感動は生涯忘れることはないでしょう。

ところで、不思議なのは題名。海外で流布されている噂によりますと、ロバートは1967年から68年にかけてある女性と付き合っていたそうですが、この彼女は、いつもロバートにたくさんの質問をぶつけていたとのこと。結局は、その68年に別れてしまったようですが、ロバートはこのときの経験を参考にしてこの曲を書き上げた、というのです。もっとも、本曲では、質問を抱えているのはむしろロバートの方であるかのような書かれ方をしています。

その歌詞の内容ですが、愛する2人が共有する気持ちは、偶然に生まれるものなのか?、それとも、必然として生まれたものなのか?、そんな哲学的な思いを読み取ることができます。と同時に、≪知りたいんだ、教えてくれるかい?、いや、教えなくていいや≫というどこかもどかしい感情をも漂わせており、一筋縄では行かないストーリー仕立てに脱帽するところでもあります。

歌詞面からもっと掘り下げてこの曲を見てみると、叙情詩"BEGINNINGS"と同じように、内面の描写に重点が置かれた作品であるように思われます。

しかし、面白いのは、叙事詩"DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IS ?"の主人公に似て、様々な葛藤を抱えつつ、結局、≪いや、そんなことはどうでもいいんだ≫風の解決を自己に与えている点です。60年代後半の混沌とした時代の若者の悩みが垣間見れるようで、非常に興味深いロバートの心理状態です。ここでの悩みは愛の悩みですが、どちらかというと、自問自答して苦悩している様を描いたように読めます。

とはいえ、それを感じさせないのは、ピーターの爽快なヴォーカルのおかげでしょう。作者のロバート自身が歌ったらどうなるのか、ぜひ聴いてみたいところではあります。

ちなみに、この"QUESTIONS 67 AND 68"には日本語バージョンが作られ、『ライヴ・イン・ジャパン』や『ハート・オブ・シカゴ 1967〜1981 II』(緑盤)などで聴くことができます。

05
LISTEN
リッスン
ROBERT LAMM

06
POEM 58
ポエム58
ROBERT LAMM

07

FREE FORM GUITAR
フリー・フォーム・ギター

TERRY KATH

08

SOUTH CALIFORNIA PURPLES
サウス・カリフォルニア・パープルズ

ROBERT LAMM

09

I'M A MAN
アイム・ア・マン

STEVE WINWOOD JIMMY MILLER

この曲は、もともとはスペンサー・デイヴィス・グループのヒット曲です(最高位英第9位、米第10位)。

「シカゴがファースト・アルバムからいきなりカバーを用いるなんて・・・」と思うところですが、それは結果論というものです。ですが、一体誰の趣味だったんでしょうね?この点、シカゴの5作目『シカゴV』の国内盤LPのライナーには、ロバートのお気に入りの奏者として、天才少年スティーヴ・ウィンウッドの名前も挙がってはいますが、さて・・・。

それはともかく、このシカゴ版の方は、サビの部分を除いて歌詞が大幅に変容されています。しかも、スペンサー・デイヴィス・グループによる原曲の方は3分弱の演奏時間でしたが、シカゴ版は7分をゆうに超えています。また、原曲にもあったパーカッション系打楽器類の味付けがさらに強調されています。出だしのベース・イントロも、原曲になかったわけではないのですが、シカゴ版ではそれがさらに印象的に繰り出されています。

このシカゴの"I'M A MAN"も、B面とはいえ、ヒットを記録しているにもかかわらず、なぜか各種ベスト盤への収録回数が少ない、不憫な曲です。もっとも、演奏時間が長いのと、他に外せない曲が多すぎるという贅沢な悩みを抱えたバンドだからでもありますが・・・。

なお、2003年に、『ROCKIN' IN THE USA』というオムニバスDVDが発売されましたが、この中には、以前VHSでお目見えした"I'M A MAN"のデビュー当時の映像が収録されています。つまり、実質的には再発です。

10
PROLOGUE, AUGUST 29, 1968
1968年8月29日シカゴ、民主党大会
JAMES WILLIAM GUERCIO

11
SOMEDAY (AUGUST 29, 1968)
流血の日
JAMES PANKOW ROBERT LAMM

12

LIBERATION
解放

JAMES PANKOW