記念すべきシカゴのデビュー・シングル。
ところが、一番最初にリリースした69年6月の時点では、チャートインを果たせませんでした。めげずに翌7月に再リリースしたときには、8月9日付でギリギリの99位に初チャートイン。その後78位、71位ときて、なんと翌週はHOT100圏外へ・・・。わずか3週だけのチャートインに終わりました。
しかし、2作目『シカゴと23の誓い』からのシングルが大ヒットを記録すると、その余波を受けて、1作目の本作『シカゴの軌跡』に戻ってシングル・カットされる機運が高まり、71年9月になって再々リリースされます。この、都合3度目にシングル化された"QUESTIONS 67 AND 68"は、見事24位まで上がるスマッシュ・ヒットとなりました。
これら3度のシングルは、それぞれアルバム・バージョンを短縮したもので、なおかつ、すべて演奏時間が異なります。
84年からシカゴを聴き出した私は、ラジオの特集で流れた、このダイナミック、かつ、小気味良いドラム・イントロにまさに骨抜き状態となり、初期のシカゴの曲にはまるキッカケを与えられました。あのとき受けた「カッコイイ〜!」という感動は生涯忘れることはないでしょう。
ところで、不思議なのは題名。海外で流布されている噂によりますと、ロバートは1967年から68年にかけてある女性と付き合っていたそうですが、この彼女は、いつもロバートにたくさんの質問をぶつけていたとのこと。結局は、その68年に別れてしまったようですが、ロバートはこのときの経験を参考にしてこの曲を書き上げた、というのです。もっとも、本曲では、質問を抱えているのはむしろロバートの方であるかのような書かれ方をしています。
その歌詞の内容ですが、愛する2人が共有する気持ちは、偶然に生まれるものなのか?、それとも、必然として生まれたものなのか?、そんな哲学的な思いを読み取ることができます。と同時に、≪知りたいんだ、教えてくれるかい?、いや、教えなくていいや≫というどこかもどかしい感情をも漂わせており、一筋縄では行かないストーリー仕立てに脱帽するところでもあります。
歌詞面からもっと掘り下げてこの曲を見てみると、叙情詩"BEGINNINGS"と同じように、内面の描写に重点が置かれた作品であるように思われます。
しかし、面白いのは、叙事詩"DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IS ?"の主人公に似て、様々な葛藤を抱えつつ、結局、≪いや、そんなことはどうでもいいんだ≫風の解決を自己に与えている点です。60年代後半の混沌とした時代の若者の悩みが垣間見れるようで、非常に興味深いロバートの心理状態です。ここでの悩みは愛の悩みですが、どちらかというと、自問自答して苦悩している様を描いたように読めます。
とはいえ、それを感じさせないのは、ピーターの爽快なヴォーカルのおかげでしょう。作者のロバート自身が歌ったらどうなるのか、ぜひ聴いてみたいところではあります。
ちなみに、この"QUESTIONS 67 AND 68"には日本語バージョンが作られ、『ライヴ・イン・ジャパン』や『ハート・オブ・シカゴ 1967〜1981 II』(緑盤)などで聴くことができます。
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