シカゴの基礎知識

はじめてシカゴの名を聞いた方のために。

目次
01 シカゴとは?
02 メンバー
03 主なヒット曲
04 入門用CD
05 ピーター・セテラは今?
06 ビル・チャンプリンは今?
07 ジェイソン・シェフは今?
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シカゴとは?

[アメリカを代表するバンド]

シカゴは、アメリカを代表するロック・ポップ・グループです。

1967年にイリノイ州シカゴで結成し、1969年にデビューしました。現在も活動中です。

当初は、メッセージ色の濃い楽曲を擁し、ベトナム戦争や政治腐敗に憤慨する若者の心を掴みます。サウンド面では、ブラスを主体とした衝撃的な音作りで、その音楽は“ブラス・ロック”と評されるようになりました。この1970年代前半を第1次黄金時代と位置付けることができるでしょう。

ところが、1978年、オリジナル・メンバーのテリー・キャスが不慮の事故により他界すると、バンドの足元が揺らぎ、たちまち低迷の深みにはまってしまいます。

しかし、1982年、"素直になれなくて"が起死回生的な大ヒットを記録し、不死鳥のごとくシーンに返り咲きます。これ以降、バンドは、ブラスを控え目にしつつ、もっぱらキーボードを主体としたバラード路線を歩み始めるようになります。この1980年代全般は第2次黄金時代と呼ぶことができるかと思います。

一方、この復活劇に貢献したピーター・セテラは1985年に脱退してしまいます。バンドは再び危機に直面するわけですが、このときは、若くて才能あふれるジェイソン・シェフを起用し、ピンチを脱するばかりか、さらなるビッグ・ヒットを量産するようになります。

1990年代に入ると、シカゴのアルバム制作ペースは急激に失速し、企画盤のリリースが相次ぎます。これと反比例して、個々のソロ活動が盛んになり出した時期でもありました。

ところが、2005年、シカゴは突如として新作のレコーディングに入ります。これが、通算30作目に当たる『XXX』です(2006年3月21日発売)。シカゴは新世紀に新たな1ページを作るため、歩み始めました。

また、2008年には、1993年に製作されながらも未発表となっていた幻のアルバム『シカゴ32 ストーン・オブ・シシファス』が正式に発売されるに至っています。

2009年8月には、80年代の第2次黄金期の立役者であるビル・チャンプリンがシカゴを脱退します。

2016年5月には、同じく第2次黄金期の立役者であるジェイソン・シェフもシカゴを脱退します。

さらに、創設メンバーのウォルター・パラゼイダーは、健康上の理由により、2017年をもって、バンド・メンバーとしての活動から引退しています。

シカゴは、2018年、新加入のメンバーを加え、2019年には、通算37作目に当たる『CHICAGO CHRISTMAS』をリリースしています。

2020年、世界は、新型コロナウイルス感染症のため、大変苦しい状況に陥りました。シカゴも例外ではなく、ライヴ活動が大幅に制限されました。

2021年12月には、ギタリストのキース・ハウランドがシカゴを脱退します。

それでも、シカゴは前進し続けます。リモート技術を駆使して、ライヴ演奏を配信してくれたりしました。

そして、2022年には、通算38作目に当たる『BORN FOR THIS MOMENT』がリリースされました。

我々も、応援の手を止めるわけにはいかないのです!

[屈指のライヴ・バンド]

シカゴの特徴として、結成以来、毎年欠かすことなくツアーに出ている現役ライヴ・バンドである点も決して忘れてはなりません。

40年以上、コンスタントに、規模の大きいライヴ活動を続けているバンドは世界広しと言えども、シカゴだけです。

その意味で、ライヴに行かずにシカゴの魅力を知ることは不可能だと思います。しかも、それを何回も繰り返さないと、シカゴの本当の価値が分からないという点には注意を要します。

[驚異的なセールス]

2005年までに発表されたアルバムの総売上数は実に1億2千枚を突破していると言われています。

このように現代の音楽史に燦然と輝く金字塔を打ち立てた偉大なグループがシカゴです。

そのファンは母国アメリカはもちろん、世界の至るところにあまねく存在します。

その意味では、アメリカにとどまらず、世界的なバンド、シカゴ。彼らのファンであることに強い誇りを覚える今日この頃です。

バイオグラフィ

メンバー

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メンバー

[創設メンバー]

テリー・キャス(ギター)
ウォルター・パラゼイダー(サックス)
ダニエル・セラフィン(ドラムス)
リー・ロックネイン(トランペット)
ジミー・パンコウ(トロンボーン)
ロバート・ラム(ピアノ)
ピーター・セテラ(ベース)
の7人。

[現行メンバー]

リー・ロックネイン(トランペット)
ジミー・パンコウ(トロンボーン)

ロバート・ラム(ピアノ)
の創設メンバー3名と、

レイ・ハーマン(サックス)
ウォルフレド・レイエス・JR(ドラムス)
ニール・ドネル(ヴォーカル)
ラモン・イズラス(パーカッション)
トニー・オブロータ(ギター)
ローレン・ゴールド(キーボード)
エリック・ベインズ(ベース)
の途中加入メンバー7名の合計10名構成。

なお、ウォルター・パラゼイダー(サックス)は、2017年をもって、バンド・メンバーとしての活動から引退しています。

[サブ]

なお、近年では、メイン・ツアーであるサマー・ツアー以外のとき、あるいは、メンバーに諸事情があるときに、以下の外部サポート・メンバーが、シカゴのツアーに代役として参加することがあります。

代役(=ツアー時のサブ)
ウォルター・パラゼイダー レイ・ハーマン(現在は正式メンバー)、ラリー・クリマス
リー・ロックネイン リー・ソーンバーグ、スティーヴ・ジャンコウスキー
ジミー・パンコウ ニック・レーン、トニー・ヴェラスコ

メンバー

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主なヒット曲

シカゴは、TOP40ヒットだけでも30曲以上を数えるため、そのいずれをもってして主なヒット曲とするかは人によって当然異なるかと思います。

そこで、ここでは、彼らのライヴでも頻繁に取り上げられる曲をいくつかピックアップしてみました。それでも、ベテラン・ファンからは不満が出る選曲でしょうけれど・・・。

MAKE ME SMILE
ぼくらに微笑みを

 70年、『シカゴと23の誓い』収録。

ジミー・パンコウのブラス・アレンジメントが遺憾なく発揮された秀作。シカゴ初のトップ10ヒット。"BALLET FOR A GIRL IN BUCHANNON"という組曲の一部のため、ライヴでは12分強にも及びます。

25 OR 6 TO 4
長い夜

 70年、『シカゴと23の誓い』収録。

70年の世界的ヒット・シングル。デ・デ・デ・デ・デンという強烈なギター・イントロと、ブラス・ワーク、そして、ピーター・セテラのハイ・トーン・ヴォーカルでロック・ファンを魅了。いまだにコンサートのしんがりを務めています。

SATURDAY IN THE PARK
サタデイ・イン・ザ・パーク

 72年、『シカゴV』収録。

ロバート・ラムのポップ・センスあふれる軽快なチューン。生まれ故郷であるニューヨークはセントラル・パークの情景が描かれています。独立記念日をモチーフにしているため、≪the Fourth of July≫の語がキーワードに。

HARD TO SAY I'M SORRY / GET AWAY
素直になれなくて〜ゲット・アウェイ

 82年、『ラヴ・ミー・トゥモロウ(シカゴ16)』収録。

ピーター・セテラの甘いヴォーカルが光る珠玉のバラード。これぞ“名曲”。今やシカゴで一番有名な曲。現在は、ジェイソン・シェフがヴォーカルを担当。ピーターは、ソロ公演でも披露してくれています。

ディスコグラフィ

曲目検索

チャート・アクション

04

入門用CD

 2002年、『シカゴ・コンプリート・ベスト』。

これらシカゴの代表曲を手っ取り早くお知りになりたいと思う場合、私としては、27作目のベスト盤『シカゴ・コンプリート・ベスト』をおすすめすることにしています。

05

ピーター・セテラは今?

"素直になれなくて"などシカゴのヒット曲の大半でヴォーカルをとったピーター・セテラは、1985年にすでにグループを離れています。

ピーターは、現在、驚くほどのマイペースで、ソロ活動を続けています。2003年には久々のツアーも開催しました。また、2004年にはクリスマス・アルバム『YOU JUST GOTTA LOVE CHRISTMAS』をリリースしたりもしています。

シカゴとの再結成話はたびたびあらゆる方面から湧き起こります。ですが、実現は難しいようです。個人的には、いろいろ思うところもありますが、とにかく、希望だけは捨てないつもりでいます。

それより、ピーターは今、2人の愛娘の良き父であることに重点を置いて暮らしています。これは本当に称賛すべきことのように思われます。どうやら、ツアーやアルバムの作成も、その辺のライフ・スタイルと関係があるように見受けられます。

なお、ピーターは、2019年をもって、ライヴ活動から引退する旨宣言しています。個人的には、いつでも撤回していいと思っています。

06

ビル・チャンプリンは今?

1980年代の第2次黄金期の立役者であるビル・チャンプリンは、2009年8月、ソロ活動をメインに行っていきたいということで、シカゴを脱退しました。2008年9月にダウンロード配信から始まった自身のソロ新作『NO PLACE LEFT TO FALL』が、アメリカにおいてもCD/DVDとして正式にリリースされる2009年8月に合わせた、何の前触れもない脱退劇でした。

その後、ビルは、ソロとして、サンズ・オブ・チャンプリンのリーダーとして、アルバム制作やライヴ活動に勤しんでいます。

07

ジェイソン・シェフは今?

同じく1980年代の第2次黄金期の立役者であるジェイソン・シェフは、2016年5月、家族の健康問題を理由として、シカゴを脱退しました。

その後も、各種客演に応じたりして、精力的に活動しています。

2019年には、ソロ・アルバム第2弾『HERE I AM』をリリースして、健在ぶりを見せてくれています。