ディスコグラフィ   シカゴ(20)

GREATEST HITS 1982-1989 (1989/11)
CHICAGO

曲目 グレイテスト・ヒッツ 1982-1989
シカゴ
総評

試聴♪

Produced by DAVID FOSTER (01、03、04、05、07、08、09、10、11)
RON NEVISON (02、12)
CHAS SANDFORD (06)

曲目
01 HARD TO SAY I'M SORRY /
GET AWAY
素直になれなくて〜ゲット・アウェイ
02 LOOK AWAY ルック・アウェイ
03 STAY THE NIGHT ステイ・ザ・ナイト
04 WILL YOU STILL LOVE ME ? スティル・ラヴ・ミー
05 LOVE ME TOMORROW ラヴ・ミー・トゥモロウ
06 WHAT KIND OF MAN WOULD I BE ? ホワット・カインド・オブ・マン
07 YOU'RE THE INSPIRATION 君こそすべて
08 I DON'T WANNA LIVE WITHOUT YOUR LOVE リヴ・ウィズアウト・ユア・ラヴ
09 HARD HABIT TO BREAK 忘れ得ぬ君に
10 ALONG COMES A WOMAN いかした彼女
11 IF SHE WOULD HAVE BEEN FAITHFUL... フェイスフル
12 WE CAN LAST FOREVER ウィ・キャン・ラスト・フォーエヴァー
総評

89年に発表されたシカゴのベスト盤。タイトル通り、ワーナー傘下で製作した82年から89年までのシングル・ヒットを網羅。当初は単なる企画物に見えましたが、のちにシカゴ20枚目のアルバムとしてカウントされるようになりました。ベスト盤としては、ナンバー・アルバムの中では通算3作目にあたります。

"素直になれなくて"に代表される、“認知度が高く、かつ、聴きやすい名バラード”が収録されています。そして、1枚組であるため、お求めやすくなっています。

ところが、2002年に、27作目の『シカゴ・コンプリート・ベスト』という2枚組のベスト盤がリリースされるに至りました。こちらは、音源がリマスターされていることもあって、現在では、この27作目の方がおすすめかと思っています。但し、多少のバージョン違いがありますので、その点はお気を付けください。

01

HARD TO SAY I'M SORRY / GET AWAY
素直になれなくて〜ゲット・アウェイ

PETER CETERA DAVID FOSTER [HARD TO SAY I'M SORRY]
PETER CETERA DAVID FOSTER ROBERT LAMM [GET AWAY]

 82年、『ラヴ・ミー・トゥモロウ(シカゴ16)』収録。

80年代のシカゴの第2次黄金期を代表する名曲であるとともに、80年代の洋楽全般を代表する傑作と言っていいと思います。

02
LOOK AWAY
ルック・アウェイ
DIANE WARREN

 88年、『シカゴ19』収録。

"素直になれなくて"の成功で第一線への復帰を見事に成し遂げたシカゴは、アルバム16作目から19作目にかけて第2次黄金期を迎えます。

そして、その極めつけとなったのが、ここに挙げる"LOOK AWAY"です。同曲は19作目『シカゴ19』から88年9月にリリースされ、12月には"素直になれなくて"以来6年振りの全米NO.1を獲得します。しかも、この"LOOK AWAY"はなんと89年のビルボード年間チャートでも堂々の第1位を記録します(詳しくはこちら)。

03
STAY THE NIGHT
ステイ・ザ・ナイト

PETER CETERA DAVID FOSTER

 84年、『シカゴ17』収録。

大ヒット・アルバム『シカゴ17』からの第1弾シングル。とにかく、ビデオ・クリップが痛快!

04

WILL YOU STILL LOVE ME ?
スティル・ラヴ・ミー

DAVID FOSTER TOM KEANE RICHARD BASKIN

 86年、『シカゴ18』収録。

82年の"素直になれなくて"の爆発的ヒットにより、見事シーンに返り咲いたシカゴを待っていたのは、85年のピーター・セテラの脱退劇。シカゴの復活に貢献したピーターのソロ転向という事態は、ファンにも少なからずの動揺を与えました。

そんな中で、シカゴの方も、新たな血路を開くべく、オーディションで、若いが経験豊富なベーシスト、ジェイソン・シェフの採用を決定します。

このジェイソンを迎えた新生シカゴは、実は、ニュー・シングル、新"長い夜"でつまづくのですが、立て直しも結果的には速く、次のシングルとして本曲"WILL YOU STILL LOVE ME ?"をヒットさせます。

このヒットを契機にして、シカゴはさらにシングル・ヒットを連発することとなります。その意味では、"素直になれなくて"あるいは遠く"アライヴ・アゲイン"に通じる起死回生的な楽曲となりました。

なお、本作『20』に収録されているのは、オリジナル・バージョン(『18』)と同一です。

これに対して、『27』にあたる『シカゴ・コンプリート・ベスト』収録曲は、リマスターされていておすすめなのですが、この曲の幻想的なイントロが全くカットされていますので、ご注意ください。

05
LOVE ME TOMORROW
ラヴ・ミー・トゥモロウ

PETER CETERA DAVID FOSTER

 82年、『ラヴ・ミー・トゥモロウ(シカゴ16)』収録。

"素直になれなくて"の起死回生の大ヒットの余勢をかって、スマッシュ・ヒットを記録した曲。

なお、本作『20』に収録されているのは、オリジナル・バージョン(『16』)です。当然。リマスター化されてはいません。

これに対して、『27』にあたる『シカゴ・コンプリート・ベスト』収録曲は、リマスター化されていますが、ギターの音が強調されたシングル・バージョンとなっています。

06
WHAT KIND OF MAN WOULD I BE ? (Single Version)
ホワット・カインド・オブ・マン (シングル・バージョン)
JASON SCHEFF CHAS SANDFORD BOBBY CALDWELL

 88年、『シカゴ19』収録。

この曲は、面白いことに、本来は88年の『19』に収録されていたのですが、次作となる本アルバム『20』からのシングル・カットという形でヒットしました。

しかも、それはシングル・バージョンでして、間奏のギター・フレーズがオリジナルの『19』バージョンとは異なるなど、多少の修正が施されていました。

なお、『27』にあたる『シカゴ・コンプリート・ベスト』に収められているのも、このシングル・バージョンです。但し、音源がリマスターされていますので、『20』よりは、こちらの『シカゴ・コンプリート・ベスト』の方がおすすめです。

07
YOU'RE THE INSPIRATION
君こそすべて
PETER CETERA DAVID FOSTER

 84年、『シカゴ17』収録。

"忘れ得ぬ君に"の大ヒットで、今後も連続してシングル・ヒットが生み出される予感のしたシカゴ。その予感は見事的中し、アルバムから3曲目のシングルである本曲も、あれよあれよという間にチャートを駆け上りました。

内容は、永遠の愛を定め付けられた2人の物語。≪どこにいてもキミのことが頭から離れない≫、≪キミは励ましとなる人≫といった純粋な気持ちが表れています。

ところで、すでに伊藤秀世さんが指摘されておられるように、アルバム『シカゴ17』に収録されたこの曲のLPバージョンには、2分42秒のところにギター・フレーズがありましたが、CD化の際にはなぜかそれが省略されてしまいました。本作に収録されているのは、このLPバージョンの方です。そして、『27』にあたる『シカゴ・コンプリート・ベスト』に収められているのも、この『20』と同じLPバージョンとなっています。

08
I DON'T WANNA LIVE WITHOUT YOUR LOVE
リヴ・ウィズアウト・ユア・ラヴ

DIANE WARREN ALBERT HAMMOND

 88年、『シカゴ19』収録。

88年6月のアルバム『シカゴ19』のリリースに先駆けて、5月にシングル・カットされた曲。

内容は、別々の生活をしてもやっていけると思っていたけれど、やはり、≪キミの愛なしじゃ生きていけない≫というもの。

ビル・チャンプリンのヴォーカルは力強く、本当に≪キミの愛なしじゃ生きていけない≫のか、不思議に思うくらいですが、「大人の恋を歌わせたら一番!」と私が勝手に考えるビルならではのヴォーカル・スタイルと言えるでしょう。

09
HARD HABIT TO BREAK
忘れ得ぬ君に
STEVE KIPNER JOHN PARKER

 84年、『シカゴ17』収録。

84年の秋口から、例のソフト・フォーカスの利いたビデオ・クリップの映像とともに猛烈な勢いでチャートを駆け上がってきた名バラード。

いつまでも自分のそばにいてくれるもんだと思っていた主人公が、彼女に去られ、≪キミなしの人生に慣れるのは大変だ≫、≪僕はキミに首ったけだったんだ≫、≪キミは断ちがたい習慣なんだよ≫と哀しく振り返る内容。

ここでは、ピーター・セテラとビル・チャンプリンの織り成す哀愁を帯びた歌唱が印象的で、とくに後半のドラマティックな展開はひときわ感動的です。

10
ALONG COMES A WOMAN
いかした彼女
PETER CETERA MARK GOLDENBERG

 84年、『シカゴ17』収録。

ひとりぼっちの男の前に、彼女が現れ、恋に落ちる話。

本作収録曲は、アルバム・バージョンと同一。これに対して、『27』にあたる『シカゴ・コンプリート・ベスト』には、これよりやや短めのシングル・バージョンが収録されています。とくにギターの反響音が強調されている点に違いがあります。

11
IF SHE WOULD HAVE BEEN FAITHFUL...
フェイスフル

STEVE KIPNER RANDY GOODRUM

 86年、『シカゴ18』収録。

"スティル・ラヴ・ミー"という新生シカゴにとっては記念碑的なヒットに続き、本曲"フェイスフル"はシングル・カットされ、スマッシュ・ヒットを記録します。

彼女には他の恋人がいて、裏切りの恋を経験する主人公。≪彼女が誠実だったら≫、こんなことにならなかっただろうに・・・という強烈な衝撃を受けた男の気持ちを描写しています。

12
WE CAN LAST FOREVER
ウィ・キャン・ラスト・フォーエヴァー
JASON SCHEFF JOHN DEXTER

 88年、『シカゴ19』収録。

≪行かないで≫、≪言いたいことがあるんだ≫、≪僕が必要としてるのはキミだけなんだよ≫、≪僕たちは永遠に続くのさ≫という歌詞。

相手の心情が書かれていないので、読み切れませんが、≪Don't turn away≫、≪Don't walk away≫というフレーズからすると、別れしなに男の側から発した愛のメッセージなのでしょうか。

なお、本作『20』と違って、『27』となる『シカゴ・コンプリート・ベスト』に収録されているのはシングル・バージョンです。両者の相違は非常に分かりにくいのですが、『27』の方では、全体的に音量レベルを上げたことが関係しているのか、イントロのシンセなどが大幅に派手になっていることに気付きます。