Q&A "LOOK AWAY"ってホントに年間第1位?

結論から申しますと、そうです、間違いなく、“89年”のビルボード年間チャート第1位です

この"LOOK AWAY"は、88年12月10日と17日の2週間第1位を記録しますが、年間チャート上では“89年”の方に集計されたのです。

ビルボード誌は、シングルでもアルバムでも、かなり集計方法の変遷を経てきています。私の覚えている限り、少なくとも80年代半ばから後半にかけては、年度末の12月におけるシングル・チャート成績は、翌年の計算に組み入れられていたはずです。そのため、"LOOK AWAY"も、実際の年数である88年度ではなく、翌89年度のチャートに集計されてしまったようなのです。

当時の印象としては、年末年始に上位に来た曲はなぜか年間チャートでも好成績を収めることが多く、たった2週間しか1位を獲っていないこの曲が年間チャートで君臨する結果となったのも、こうした集計方法のアヤが関係しているとみていいでしょう。その意味ではラッキーといいますか、長年の活動に対するご褒美といいますか、なんとも不思議な気持ちになります。

ただ、なぜ、あえてこの話題をここで取り上げたかと申しますと、以下のような事情があったからなのです。

すなわち、のちに、様々な雑誌・書籍上で、この"LOOK AWAY"をインエクセス(INXS)の"NEED YOU TONIGHT"に次ぐ「“88年”度の第2位」と紹介するくだりがあったのを発見したためです。

たしかに、客観的に88年度単位で集計すると、どうやらこのように「“88年”度の第2位」というのが正しいようです。

しかし、ビルボード誌上における公式記録としては、冒頭にも示したように、「“89年”度の第1位」ということで間違いありません。この点をしかと確認しておきたかったわけです。


ところで、この"LOOK AWAY"の年間チャート第1位の瞬間は鮮明に覚えています。

湯川れい子さんの全米TOP40で発表されていたこの年間チャートを、私は番組の途中から聞き出します。しかし、トップ10付近ですら、この曲の名前が出てこなかったため、正直「あ〜、こりゃあ、聞き逃した」とあきらめてしまいます。ベスト3が発表される頃にはもう完全にラジオは聞き流し状態です。

ところが!

「さて、いよいよ年間チャート、第1位の発表です!」というアナウンスとともに、♪ジャン―――、ジャカ、ジャカ、ジャ〜ンとジングルが鳴り出します。すると、どこかで聴いたイントロが流れて来るのです。

「えっ?」と思わず夜中に声を出してしまいました。

続く言葉は、「シカゴの"LOOK AWAY"です!」。

「うそぉっー!?」。

このときの驚きといったらなかったですね。その場で立ち上がった記憶があります。何と言うか、本当にありえないことだ、と思いました。今思い出しても、身震いしてきます。

当時の私は、もっぱら初期のシカゴに傾倒していて、バラード・シカゴはどちらかというと、ちょっと関心薄でした。ですから、"LOOK AWAY"がシングルで久々の第1位を獲得したときも、そのプロモ−ション・ビデオを見て、「相変わらず、キツイ感じのお姉さんが出てるなー」くらいにしか思っていませんでした。しかし、現金なもので、とにかく、うれしいということだけは確かでした。そんな思い出がこの曲に関してはあります。