ディスコグラフィ   シカゴ(12)

HOT STREETS (1978/9)
CHICAGO

曲目 ホット・ストリート
シカゴ
総評

試聴♪

Produced by PHIL RAMONE & CHICAGO

曲目
01 ALIVE AGAIN アライヴ・アゲイン
02 THE GREATEST LOVE ON EARTH グレーテスト・ラヴ・オン・アース
03 LITTLE MISS LOVIN' リトル・ミス・ラヴィン
04 HOT STREETS ホット・ストリート
05 TAKE A CHANCE テイク・ア・チャンス
06 GONE LONG GONE ゴーン・ロング・ゴーン
07 AIN'T IT TIME エイント・イット・タイム
08 LOVE WAS NEW ラヴ・ワズ・ニュー
09 NO TELL LOVER ノー・テル・ラヴァー
10 SHOW ME THE WAY ショウ・ミー・ザ・ウェイ

<ライノ再発盤ボーナス・トラック>

11 LOVE WAS NEW (Alternative Vocal) ラヴ・ワズ・ニュー
(オルタナティヴ・ヴォーカル)
総評

01

ALIVE AGAIN
アライヴ・アゲイン

JAMES PANKOW

前作11作目の『シカゴ XI』をリリースした翌年78年1月に、シカゴはグループの中心的メンバーであったテリー・キャスを不慮の事故で失い、絶望の淵に立たされます。

しかし、茫然としている間もなく、意外にも早くシカゴ新生への道は着手されることになります。

まず、同年4月には、後任のギタリストとして、スティーヴン・スティルス・バンドに在籍した経歴のあるドニー・デイカスを採用します。次いで、5月からは慣れ親しんだカリブー・ランチからマイアミに移してレコーディングを開始します。

そして、テリーの死からわずか8ヶ月足らずの9月に、ニュー・アルバム、12作目の本作『ホット・ストリート』がリリースされるに至ります。

以上の経過を踏まえて、続く10月にカットされたシングルがこの"ALIVE AGAIN"なのです。同シングルは、その週の初登場曲としては最高位の第63位という好位置でチャート・イン。いかにファンの注目が高かったかがうかがわれます。

ドニーの弾けるようなギター・イントロで始まるこの曲は、忌まわしい過去振り払うかのように軽快なテンポを内包しています。

≪明日になれば太陽が輝くなんて、昨日は思いもしなかった。(それほど落ち込んでいたのに)僕の人生にキミが加わることで、僕は生き返ったんだ!≫、≪すべての虚しい過去はもはや消え去った。今ではキミが僕の人生を愛で満たしてくれる≫。表面上は、絶望していた人間が新しい恋人の出現によって活力を取り戻すという歌詞ですが、これがテリーを失った悲しみと、再起を誓うグループの強い意思の表れであることは明らかです。作者のジミーも「行間を読んでもらえば分かる」と言っています。

また、この曲の収録されたアルバムは、『HOT STREETS』とあるようにナンバーがふられていません。しかも、極度に露出の少なかった彼らの写真がジャケットを飾っています。この辺りからも再起に賭ける尋常でない意気込みが伝わってくるというものです。

はたして、未曾有の危機に直面したシカゴはこの曲によってまさに“甦った”のです!その意味で彼らにとって、また、ファンにとっても非常に重要な楽曲になりました。

02
THE GREATEST LOVE ON EARTH
グレーテスト・ラヴ・オン・アース
DANIEL SERAPHINE DAVID "HAWK" WOLINSKI

03
LITTLE MISS LOVIN'
リトル・ミス・ラヴィン
PETER CETERA

04

HOT STREETS
ホット・ストリート

ROBERT LAMM

05

TAKE A CHANCE
テイク・ア・チャンス

LEE LOUGHNANE STASH WAGNER

06

GONE LONG GONE
ゴーン・ロング・ゴーン

PETER CETERA

07

AIN'T IT TIME
エイント・イット・タイム

DONNIE DACUS DANIEL SERAPHINE WARNER SCHWEBKE

08

LOVE WAS NEW
ラヴ・ワズ・ニュー

ROBERT LAMM

09
NO TELL LOVER
ノー・テル・ラヴァー

LEE LOUGHNANE DANIEL SERAPHINE PETER CETERA

"ALIVE AGAIN"に続けてシングル・カットされたメロウなバラード。

≪no tell lover≫という語が多くの訳詞に見られるように、≪まだ口を聞いたこともない片想いの相手≫を意味するのであれば、非常にストイックな主人公の心情が綴られている曲と考えてよさそうです。つまり、いつも距離を置きつつ、ただ≪彼女が欲しい。彼女のもとを離れられない。彼女なしでは生きられない≫と内なる叫びを発しているにすぎないからです。おまけに、≪まわりからは、そんな恋は成就しないと言われる≫なんて当然の反応まで認識しています。

この作品は共作ですが、クレジットの順からして、リー・ロックネインが中心的にライティングしたものなのでしょう。リーは、『7』において"CALL ON ME"を作曲していますが、そこで見られた体裁を繕う主人公と違って、この"NO TELL LOVER"では以上のようにストイックで繊細な主人公像が描かれています。

ヴォーカルはピーター。冒頭の≪Pretty smile lovely face and a warm breeze now I need you lady≫という滑り出しのテンポの良さは天下一品。甘く切なく歌い上げるピーター。世間的な認識として、「ピーター=ラブ・バラード」という図式がもはや動かしがたいものとなってきたということなのでしょうか・・・。そう思うと複雑です。

なお、この曲のスマッシュ・ヒットの後、シカゴは、『シカゴ13』、『シカゴXIV』というアルバムとともに、シングルも数枚リリースしますが、チャート的にはさして奮いませんでした。

77年の『シカゴ XI』リリース直後の、プロデューサー、ガルシオとの訣別、そして、テリーとの永遠の別れ・・・。こういった状況のほか、当時はディスコ・ブームが最高潮を迎え、この時期に活動が低調になった過去の大物バンドは少なくありませんでした。78年の本アルバム『ホット・ストリート』で再起を印象付けたシカゴでしたが、80年前後においては、時代的に、このような憂き目に遭いつつありました。

10

SHOW ME THE WAY
ショウ・ミー・ザ・ウェイ

DANIEL SERAPHINE DAVID "HAWK" WOLINSKI

<ライノ再発盤ボーナス・トラック>
11

LOVE WAS NEW (Alternative Vocal)
ラヴ・ワズ・ニュー (オルタナティヴ・ヴォーカル)

ROBERT LAMM